工学研究科長挨拶

工学部長・工学研究科長 佐藤 嘉洋

工学部は、嬉しい、楽しい、そしてチョット悲しい

 私は、平成28年4月より大阪市立大学工学部長(工学研究科長)を務めております佐藤嘉洋と申します。少しでも多くの方々に大阪市立大学工学部を知って頂き、関心を持って頂けるように大阪市立大学工学部を紹介させて頂きます。

 大阪市立大学工学部は、1907年に設置(認可)された市立大阪工業学校に源流を求めることができます。市立大阪工業学校は、高等小学校卒業を入学資格とする修業年限4ヶ年の工業学校として創立されています。当時の日本では、農学校、商業学校の整備が先行しており、職工学校(工業学校)は遅れて整備されています。明治時代後期の大阪は、商業の発展と相俟って工業の発展も目覚ましいものがあり「近代日本の一大工業都市」として発展していました。このような都市大阪の発展を背景にして工業学校設立の機運が高まり、日露戦争等の影響により遅れたものの1908年に市立大阪工業学校が開校しました。初代校長の堀居左五郎は、1)それまでの教授法とは異なり、欧米先進国に倣った「実験工学制」を取り入れて実験・実習を重視した、2)「善良なる国民」になるような訓育を実践した、3)校舎を開放し、市民・社会への教育の解放を実践した。これらの取組は、現在の工業教育にも通ずる部分もある先進的なものであり、その施設・設備とともに日本の工業教育の先駆けとされ、学校関係者の訪問が絶えなかったとの記録があります。こんな先進的な学校が大阪市立大学工学部のルーツとは嬉しいことである。

 工学部は現在、機械工学科(入学定員56名)、電子・物理工学科(同42名)、電気情報工学科(同42名)、化学バイオ工学科(同56名)、建築学科(同34名)および都市学科(同50名)の6学科で構成されており、約100名の専任教員が担当しています。工学部の学科としては少し小さいのですが、基本的な学科は整備されており各学科が連携し一体となって運営されています。学生数が少ない事を逆手にとって少人数できめ細やかな教育・研究を実践していることも特徴です。工学部の研究領域の多くは、現代の科学技術です。科学技術の成果は社会のいたるところに活かされており、私達の生活は科学技術の成果の上に成り立っているといっても過言ではありません。科学技術の研究に携わる者は、研究の成果が日々人々の暮らしを変えていく光景を目にすることができます。これは、研究者冥利に尽きると言うものです。学生時代から科学技術の研究にハマッテしまうと、抜け出すどころか益々深みにハマッテしまう傾向があるようです。理科系出身者が社会に出てからも金銭的処遇よりも仕事内容に拘る一因はこんな処にもあるのかもしれません。工学部の研究って本当は楽しいんだ。

 平成28年4月に工学部には298名の方に入学して頂きました。入学者のうち女子は46名、率にして約15%で、勿論、大阪市立大学9学部の中で最低でした。勿論などというのも変な話なのですが、最近では“リケジョ”の活躍もあってか工学部の女子学生の割合は少しずつではありますが増加の傾向にあるとはいえ、基本的には男子学生の割合が高い学部であることに変わりはありません。また、工学部には約100名の専任教員がいることを述べましたが、このうち女性教員は6名です。率にすると約6%です。工学部構成員の男女比が、かなり男の割合が高い状態にあることは確かです。工学部構成員の男女比についてですが、私はもう少し女性の割合を高くした方が良いと考えております。その理由は、工学部の研究内容の変化にあります。かなり以前には研究の目標がはっきりしており、その目標に向かって全員が力を合わせて突き進むような時代がありました。このような状況では一人ひとりというよりは強力なリーダーの下で集団として研究する方が、効率よく研究を進めることができたと思われます。しかし、近年では各研究者のアイデアが試されるような研究が多くなってきました。研究者各人が豊かな発想力を若いうちから身に付けることが要求されるようになってきました。この訓練には多様性のある研究環境を創出・提供し、学生といえども自ら豊かな発想力を生み出す鍛錬をすることが必要になってきていると感じています。多様な国籍や言語、年齢等と共に男女が入り混じった環境から価値のあるアイデアが発想される可能性があるように思われます。多様なバックグラウンドを持つ個々の研究者の考えのぶつかり合いの中から革新的なアイデアが生まれるように思います。いつまでも「おとこうがくぶ」なんて言われるのはチョット悲しい。

 大阪市立大学工学部について少しは関心を持って頂けたでしょうか。もう少し知りたいと感じられた方は、次は是非、大阪市立大学工学部をお訪ね下さい。教職員・学生一同お待ち申し上げております。次は杉本町でお目にかかりましょう。