電子情報系専攻の仕幸 英治教授らの研究グループは,薄さが数十ナノメートルの磁性膜を使用した,電磁波から電気エネルギーへの変換現象により発生する電圧を利用して蓄電することに成功しました.これまでの先行研究において強磁性共鳴下では磁性膜にマイクロボルト程度の電圧が生じることが明らかにされていました.そこで本研究では,この起電力を活用し,鉄-ニッケル合金および鉄-コバルト合金という2種類の膜材料を用いて蓄電を試みました.結果,膜材料の種類により蓄電が可能な場合と難しい場合があり,発熱をしても磁石の性能を失いにくい膜材料のほうが安定した蓄電が可能であることが明らかになりました.強磁性共鳴による起電力は原理的に全ての周波数の電磁波において生成可能なため,本研究成果を活用することで身の回りのあらゆる周波数の電磁波から蓄電できる可能性が示されました.本研究成果は日本時間2021年8月11日(火)に国際学術誌「AIP Advances」にオンライン掲載されました.
論文タイトル:An energy harvesting technology controlled by ferromagnetic resonance
著者:Yuta Nogi, Yoshio Teki, Eiji Shikoh
仕幸研究室のHP: http://bio.mc.elec.eng.osaka-cu.ac.jp/shikoh_index.html