建築学科
Architecture and Building Engineering

建築は、様々な環境づくりを通して人間と密接に関わり、社会を形成する重要な要素です。それ故に、豊かで生彩ある社会生活環境の創造に向けて、大きな可能性を有しています。 本学科は、芸術・学術・技術に立脚した「総合建築教育」を特色としており、「発展」から「持続」へ、「効率性」から「人間性」へという、成熟期を迎えた社会の要求や課題を的確に把握し、それらの実現や解決に対して「理論的」かつ「実践的」に対応しうるデザイナーやエンジニアの育成をめざしています。 平成21年度より既存5分野に新たに4つの教育分野を加え、より充実した教育を提供します。「建築」から「都市」まで幅広く学習できるのも本学科の特色です。

建築防災

強風災害による住宅の被害低減をめざし、実験データの収集と分析を行う。
ガヴァンスキ 江梨 准教授

最近10年で激増する日本での強風災害。

 日本で「災害」と聞けば、地震や水害を思い浮かべる人が多いでしょう。けれども近年の気候変動のせいか、強風災害は以前より増加傾向にあります。大型台風の襲来数は増えており、竜巻やダウンバーストといった局所的な強風災害も発生しやすくなっています。
 この現象は、私たちが暮らす住宅にとって見過ごせないものです。なぜなら住宅は大型建造物と違って構造設計をしない場合が多い上に、建築基準法や荷重指針は台風のみを想定しており、竜巻やダウンバーストについては現象が稀であることから具体的な規定はないからです。また一般的に知られる地震荷重と異なり、風荷重は同じエリアに建設された建物であっても屋根の形状によって大きさが変化し、また荷重の継続時間が長いという特徴があります。そこで当研究室では、縮尺模型を用いた風洞実験を行い、建物に作用する風荷重の評価を行っています。

風に強い住まいの規準を検証を重ねて探る。

 強風により住宅が壊れるのは、建物に加わる風荷重が、柱や梁などの構造部材やシャッター・窓などの外装材の耐力を上回った時です。そして近年強風により破壊されるのは主に外装材です。そこで住宅模型を使った風洞実験で風荷重を評価し、風圧載荷装置等を使った外装材耐力評価実験で耐力の評価を行います。得られたデータから、風速と被害額の相関関係を求め、専門家ではない人々にも結果をわかりやすい形で提示するという、強風災害に対するリスク評価も行っています。現在研究室では多種多様な日本の外装材メーカーの協力を得て、検証を進めています。日本の大学において風工学を学べる研究室はあまりありません。ですので、私たちと一緒に日本で増えつつある強風災害の被害を減らすために、防災の新分野をともに開拓していきましょう。

建築学科研究分野一覧

構造領域

構造領域では、建築物の様々な構造的な振る舞いを制御するために必要な知識、技術に関する教育・研究を行っています。具体的な教育内容は、(1)建築物の構造解析技術の習得と構造計画の立案能力の開発(構造力学、構造計画)、(2)建築物の構造設計に関する基礎知識の習得と理論的背景の理解(基準荷重、荷重見積り)、(3)建築物の構造材料と施工品質管理に関する基礎知識の習得または、建築物の各種構造と建築構造材料特性に関する基礎知識の習得(建築材料、施工品質)です。

建築構造学

建築構造の中でも特にドームやスタジアム屋根などに代表される空間的な広がりを持つシェル空間構造の力学特性に関する研究に力を入れています。その構造特性を数値解析・実験的手法の両面から研究し、新しい建築空間を創るための構造技術の開発をめざしています。

  • 研究室で開発した木質トラス構造のモックアップ組み立て

建築防災

建築物は主に地震や風による力に耐える必要があります。地震による力は建築物の硬さや重さという建築物の中身によって異なるのに対し、風による力は建築物の形、いわば外見に影響をうけます。一方建築物が破壊するのは(地震・風による力)>(建築物の耐力)となった場合であり、耐力の検討も必要です。当研究室ではこうした建築物をめぐる風による力、そして風により破損する建築物やその部材耐力を研究しています。

  • 屋根面に作用する風荷重を測定する風洞実験

建築材料学

建築物(主に鉄筋コンクリート造や木造)の耐震性能評価及び耐震補強技術開発に関する研究を進めています。近年は、新材料を適用した新しいコンクリート系構造材料システムの開発を目指しています。また,天然資源や産業副産物を有効利用した,環境負荷低減型の建築材料及び構造部材開発に従事しています。

  • 試験体製作(コンクリート打設)
  • 試験体の損傷観察

環境領域

環境領域では、建築空間における人の快適性や省エネルギーの観点から室内外環境制御についての教育・研究を行っています。具体的な分野としては、(1)日照・照明・採光に関わる光環境分野、(2)温度やエネルギーに関わる熱環境分野、(3)騒音や遮音、音響特性に関わる音環境分野、(4)空気質や空気流動に関わる空気環境分野、(5)給排水衛生消火システムや空調・換気を取り扱う建築設備分野に分類され、建築物理の定量的評価と人間の心理・生理的評価の観点から建築を取り扱います。

建築環境工学

高齢者の転倒事故リスクの低減にむけて、事故の環境側要因としての照明環境に関して、歩行時における視線の動きを測定しています。また、老人ホームにおける転倒事故の発生率と気象条件との関係も分析しています。

  • 歩行時における注視特性の測定風景

担当教員

※クリックすると研究者紹介が表示されます。

計画領域

計画領域では、建築物としての物理的特性に加え、人の社会生活や歴史文化といった側面を加味した〈建築〉を計画するための教育・研究を行っています。具体的な分野としては、(1)新築のみならずストック活用や建物の組み立てまでを含む計画分野、(2)建築に関する幅広い与条件を創造的に統合するデザイン分野、(3)建築の評価と定義を更新する建築史分野からなります。本領域は、実際の設計を通した実践的なアプローチに比重を置き、実践と理論とを往還するところに特徴があります。

建築デザイン・歴史

実在する都市をフィールドに調査・分析し、それを建築の意匠へ活かす設計手法の研究を行っています。展覧会への応募のほか、研究室に依頼された建築物の設計や、建築設計事務所のコンペのメンバーに加わるなど、実際のプロジェクトに携わる機会の多いことが特長です。

建築計画

住宅ストックの再生手法としてリノベーションが普及し、各地にリノベ集積地が散見されるようになった。そのようなエリアではリノベがリノベを呼び、連鎖的ネットワークが形成されている。この現象をCo-Renovationと名付け、その仕組の解明やコミュニティ活性化への可能性を探っている。建築計画とは、以上のように、ヒト・モノ・コトの関係性から建築やまちを計画する理論を構築する研究分野です。

  • リノベをきっかけにヒト・モノ・コトの関係性が生まれ、お祭りが始まる (大阪市阿倍野区)
  • 地域のたまり場ができたりもする (長崎県福江島)

建築構法

炭素固定化を担うサステナブルな材料である木質材料、木質構造を軸に、伝統的な技術の再評価、既存建築物の健全性診断法の提案、建築物の長期性能予測のための技術基盤整備、新しい材料を利用した新しい構法の開発などに取り組んでいます。

  • 新しい木質材料CLTによって大規模木造が実現

コミュニティデザイン

人・コミュニティ・地域という実体として生きている都市にフォーカスし、住民とのワークショップなどを通じて実証的に研究。都市や地域を活性化させる住民主体のまちづくりや、建築単体を超えた面的・群的な都市空間のデザインといったテーマに取り組んでいます。

  • 公共空間の計画・デザインおよび利活用社会実験とその分析・観察・評価

担当教員

※クリックすると研究者紹介が表示されます。

取得できる資格・卒業後の進路

取得できる資格

・高等学校教諭1種免許状(工業)
・安全管理者(労働安全衛生法)(学科共通)
工学部を卒業し、2年以上産業安全の実務経験のある者は 安全管理者に就任できます。(主務官庁、厚生労働省)
・1級建築士(受験資格)
※所定の科目を修得し、卒業後所定の実務経験2年以上
・2級建築士(受験資格)
※所定の科目を修得し卒業すること
・測量士(受験資格)
※所定の科目を修得し、卒業後所定の実務経験1年以上
・施工管理技士(建設業法)
※所定の科目を修得し、卒業後一定期間実務に従事した者

2017年度卒業生の進路状況

卒業生41名 大学院進学24名 就職12名 その他5名

2017年度都市系専攻修了生の主な就職先

大阪市役所、鹿島建設、NTTファシリティーズ、梓設計、大林組、オリエンタルコンサルタンツ、竹中工務店、関西電力、国土交通省国土技術政策総合研究所、住友林業、大栄環境、ダイキン工業、大成建設、西日本高速道路、西日本旅客鉄道 ほか

修了生58名 進学1名 就職53名 その他4名

アドミッションポリシー

本学科は幅広い分野に対応しており、多様な人材を求めています。以下の「6」は必須ですが、「1」~「5」のいずれかの資質を有する人を求めています。
  • 1.より良き人間生活と社会づくりに向けて、建築や社会の問題を解決するために幅広い知識と技術を修得しようとする
    意欲のある人
  • 2.探究心が旺盛で、人間・社会・自然界で生じるさまざまなできごとや、それを支える仕組みに興味がある人
  • 3.建築という形のあるものを創り出すこと、それを実現するための学術・芸術・技術に対する興味と意欲のある人
  • 4.立体的な思考が得意で、ものづくりや空間への興味・関心が高く、創造力の豊かな人
  • 5.自分の意見を相手に伝えることのできるコミュニケーション能力がある人
  • 6.建築学に関する専門科目を習得するのに必要な一定レベルの学力を有しており、人文・社会科学、文化、歴史など
    広範な学問領域に興味のある人