化学バイオ工学科 Applied Chemistry and Bioengineering

化学バイオ工学科は、化学技術やバイオテクノロジーを基に環境調和型の「ものづくり」に挑戦します。「ものづくり」を通じて、持続的な発展と地球環境保全が両立した豊かで安全な社会の構築に貢献する人材を育成します。 研究面では、化学の原理や方法に基づき、原子や分子の世界から生活に欠かせない物質や材料を創り出す分野と、複雑な生体分子や細胞機能に基づき先端バイオ技術を創造する分野が共存し融合することで、化学・生物・工学をキーワードとした新しい分野を開拓していきます。 教育面では、専門知識だけでなく、科学技術が社会に及ぼす影響について地球的規模で総合的に洞察し、自ら適切に判断できる専門技術者・研究者の養成を行うためのカリキュラムを整備しています。

Close-up Fields of Study 注目の研究

工業物理化学

最先端のX線分析法を開発し、元素の分布を可視化する。

生体材料工学 辻 幸一 准教授

自分たちで分析機器の設計・開発を行う

独自に設計した三次元蛍光X線分析装置(P1参照)を活用した微小部の非破壊元素分析に取り組んでいます。元素分析とは物質を構成する元素の種類と量を決定する方法で、X線を利用することにより、試料を傷つけることなく、その内部の分析が可能になります。多くの研究室では分析装置を購入しますが、当研究室では特定の目的に適した分析装置を自前で作製。X線管や検出器、試料ステージなどを使いながら、自ら分析装置の製作を体験することで、分析装置の構成や分析原理を理解します。

次世代のX線元素イメージング法と国際標準化をめざす

当研究室では企業や社会との関わりを重視しています。例えば、鉄鋼会社と鋼板の腐食に関する共同研究を進めるほか、科学捜査研究所との連携事業では、自動車事故現場に残された自動車鋼板の塗膜のカケラを三次元蛍光X線分析法で分析。その結果、車種や製造年代を特定することができ、事件の捜査に威力を発揮すると期待されています。

またX線元素イメージングの手法の開発研究にも取り組んでいます。試料の位置を動かしながら微小部の蛍光X線分析を行うと、最終的に目では識別できない元素の分布を可視化できます。当研究室ではX線カメラを用いることで、試料を動かさず、デジタルカメラでカラー写真を撮るように、元素イメージングを行う手法についても研究。ベルギーの大学との共同研究により、絵画や考古物の非破壊分析を行い、それらの保存や修復に役立っています。これらの研究とともに、微量分析を可能にする全反射蛍光X線分析法については、ISO国際標準規格の制定をめざして国際共同研究を展開。実社会とのつながりを深く持つとともに、世界レベルの研究を実践できる環境を整えています。

化学バイオ工学科研究分野一覧

エネルギー物質化学領域

環境と調和しながら永続的に発展する社会を実現するためには、持続可能エネルギーとそれに関わる物質化学の研究が不可欠です。そこで、本研究領域では、「無機化学」「物理化学」「分析化学」などの学問を基礎とする物質化学に関する基盤研究から、「電池」「ナノマテリアル」「有害物質処理」などへの展開を目指した工学的応用研究まで、取り組んでいます。

無機工業化学

エネルギー・環境問題を解決するため、「蓄電池」・「人工光合成」・「燃料電池」をキーワードとする無機材料の研究を進めています。具体的には、金属酸化物や金属錯体といった無機材料を原子・分子・ナノサイズのレベルで構造制御し、複合化することで機能の向上に取り組んでいます。

  • 電極材料の粒子形態(左)と結晶構造(右)

工業物理化学

微小部・微量分析法の開発と応用研究に加え、ナノ粒子や光触媒などの機能材料の開発に取り組んでいます。最近ではX線分析技術を応用して試料の三次元元素分布の可視化に成功。この手法を環境試料、生物試料、文化財試料、鑑識資料などの精密解析に利用しています。

  • 透過型電子顕微鏡で撮影したシアニン色素で被覆されたロッド状の金ナノ粒子

担当教員

※クリックすると研究者紹介が表示されます。

分子科学領域

原子・分子レベルで物質を設計し、機能性を有する有機分子・有機材料・高分子の合成を行い、持続可能な未来社会の実現に貢献できる新物質・新材料の創製を目指しています。特に、有機合成反応の開発、機能性高分子合成、高分子物性制御、光機能物性制御などに取り組み、光学・エレクトロニクス・創薬・医用分野などで応用が期待できる物質創製を進めています。このような物質創製を通して必要な素養を教授し研究者・技術者として将来活躍できる人材の育成を行っています。

有機工業化学

医薬や農薬の合成原料として工業的価値の高い光学活性化合物の合成を可能とする有機触媒の開発を行っています。ケイ素の性質を活かした研究では、微量用いることにより有機反応を行うと大量の光学活性化合物を合成することができる不斉触媒の開発に成功。また、生体内における酵素反応と同様の反応を人工的な小有機分子触媒により行う研究などを展開し、環境にやさしい化合物合成法の確立をめざしています。

  • 環境調和型超効率触媒の開発

高分子科学

従来のポリマーでは実現できない高性能・新機能をもつ高分子材料の開発を目指し、多成分系高分子の相溶性と結晶構造、フィラー分散高分子の導電性、感光性高分子の評価、制御重合反応の開発、高分子界面の機能化と物性制御、反応性・刺激応答性高分子材料の設計と評価を行っています。機能の発現メカニズムの解明にも取り組んでいます。

  • (a)圧電性、焦電性を示すI型のポリフッ化ビニリデン
  • (b)ハイパーブランチポリマーのメタルフリーワンポット合成

材料化学

次世代材料として期待される光機能性有機材料の合成とその性質を研究。光メモリ素子、表示素子、光センサー、サーモセンサー、フォトアクチュエーターなどへの応用が考えられます。さらに新しい表示素子材料、有機系の発光材料などの開発にも取り組んでいます。

  • 紫外線照射すると着色し、可視光線照射すると元の無色に戻る機能性材料

バイオサイエンス領域

全ての生命現象は、核酸・タンパク質・糖質をはじめとする多種多様な生命分子が織りなす化学反応により成り立っています。バイオサイエンス領域では生命現象を化学の言葉で理解し我々の生活に活用すべく、そのメカニズムの解明や有用物質の創製を進めています。具体的には、生体高分子をベースとした医用材料の創製、スフィンゴ脂質類縁体の合成及びアポトーシス誘導機構の解明、酸化還元タンパク質の構造機能相関、高機能性人工抗体の開発などの研究を行っています。

生体機能工学

抗炎症剤・抗ガン剤およびそれらのデリバリー材料を含む医療材料の開発について研究を展開。例えば瞬時にゲル状になって出血部位を覆う新しい止血剤や皮膚疾患の炎症を抑える効果のあるショウガ由来化合物など、医療現場で役立つツールの開発に取り組んでいます。

  • 化合物の抗腫瘍効果により大部分のガン細胞が死滅している
    A:ヒト子宮頚ガン由来HeLa細胞
    B:Aに抗腫瘍効果のあるショウガ由来化合物を添加し、
    24時間培養後の様子

生物分子工学

遺伝子工学を用いたタンパク質の研究を実施。遺伝子工学を使って設計図を書き換え、ヒトにとって有効なタンパク質を作り出すという研究も行っています。これらの研究は、抗体医薬品としての抗ガン剤や病原性微生物に対する抗菌薬の開発に応用できます。

  • DNA塩基配列自動解析装置を用いて得られたDNA塩基配列を表す
    波形データ

バイオエンジニアリング領域

21世紀を迎え、生命現象の理解が飛躍的に進み、これらの知見を基盤とするバイオ技術が、人類に多大な貢献をする時代を迎えています。バイオエンジニアリング領域では、多様な生物が織りなす巧みな生命現象を、工学的な観点から応用し、人類の健康、新エネルギーの開発、環境保全などに役立つ物質や技術の創出を目指します。生物化学工学、生体材料工学、細胞工学の3分野が連携し、教育と研究を実施しています。

生物化学工学

木質系バイオマスからのエタノール生産など、木質系バイオマスの100%利用をめざして、その成分であるリグニン、ヘミセルロース、セルロースの効率的な分離、およびそれらの有効利用について検討しています。また、医薬品・化学品の製造工程における手順とコストを削減する晶析プロセスの高度化にも取り組んでいます。

  • アミノ酸の一種であるグリシンの光学顕微鏡写真

生体材料工学

iPS細胞などから作った組織細胞で病気を治療する「再生医療」の実現に向けた工学領域からのアプローチを行っています。また、高性能なmicroRNAやDNAでできた世界初のmicroRNA阻害剤LidNAなど「核酸医薬」の開発も行っています。

  • 羊毛タンパク質で作製した多孔体細胞足場の上で増殖する
    マウス線維芽細胞

細胞工学

新たな機能を持った微生物の探索と酵母をモデルに人工的な機能性細胞の構築に取り組み、バイオ産業への展開を図るとともに、細胞工学技術を駆使し、新しい抗体作製技術の開発を実施。いまだ謎の多い細胞の理解を進めながら、工学領域への展開をめざします。

  • 酵母の細胞分裂した痕跡(キチン染色)

協力研究室

環境材料化学

環境・エネルギー問題の解決に貢献する固体触媒・光触媒の開発に取り組み、人工光合成をはじめとする環境調和型化学反応システムの構築を目指しています。優れた固体触媒の創製を目的として、各種分光法を利用した物性分析と分子レベル・ナノレベルでの材料設計も行っています。

  • 触媒活性・不活性サイトのナノ空間分布マッピング

担当教員

※クリックすると研究者紹介が表示されます。

取得できる資格・卒業後の進路

取得できる資格

・高等学校教諭1種免許状(工業)
・安全管理者(労働安全衛生法)(学科共通)
工学部を卒業し、2年以上産業安全の実務経験のある者は 安全管理者に就任できます。(主務官庁、厚生労働省)
・甲種危険物取扱者(受験資格)
※化学に関する科目を15単位以上修得した者

平成27年度卒業生の進路状況

卒業生50名 大学院進学41名 就職9名

平成27年度化学生物系専攻修了生の主な就職先

花王、東洋紡、不二製油、日本製紙、関西ペイント、ライオン、日東電工、日本ペイントホールディングス、昭和産業、ユニチカ、味の素ゼネラルフーヅ、大関、小林製薬、松本油脂製薬、イビデン、タイガー魔法瓶 ほか

修了生40名 就職39名 進学1名

アドミッションポリシー

本学科における教育では、少人数教育と4年一貫教育という本学の教育理念に則り、物質・生命およびその変化を原子・分子レベルや遺伝子・細胞レベルで理解できる基本的考え方を身につけ、化学・バイオに関わる基礎理論と技術の実際を学びます。さらに、化学・バイオの先端領域で活躍し、かつ技術者としての責任感・倫理観を身につけ、広く社会に貢献できる人材を育成することをめざしています。そのため、本学科では次のような人を求めています。
  • 1.化学・バイオについての基礎知識を理解できる能力を有し、意欲的に勉学に取り組める人
  • 2.化学現象や生命現象に対する興味と探究心が強く、新技術の開発に熱意を有する人
  • 3.実験や自然観察が好きな人
  • 4.論理的な記述、論理的な発表力など、研究能力とともにコミュニケーション能力を高めることに努力する人幅広い教養の 習得に熱意をもち、倫理観のある人