電子・物理工学科 Applied Physics and Electronics

携帯電話や薄型ディスプレイ、ブルーレイなど、身近に電気・電子工学や応用物理学の成果を利用した製品があふれています。本学科ではこのような身近な電子・通信機器や情報家電をはじめさまざまな産業分野を支える電気・電子工学、応用物理学の基礎教育と、次世代の新しい技術パラダイムを生み出す先端科学技術の研究開発を行っています。本学科では、電気・電子工学や応用物理学の教育と研究を通じて、日進月歩の高度技術社会をリードできる高い専門性や応用能力、さらに技術者としての高い倫理観を兼ね備えた優れた人材の育成とあくなき「知」の探求によって希望ある未来をひらく科学技術の創造をめざしています。

Close-up Fields of Study 注目の研究

数理工学

計算機シミュレーションを用いて、物質の謎を解明する。

電磁気学イメージ画像 寺井 章 教授

1次元の有機物質の特異な現象に迫る

1次元や2次元など低次元系と呼ばれる物質は、3次元系の物質とは異なる特異な現象を示すと予想されています。例えば、私たちが研究しているスピン電荷分離という現象もそのひとつです。電子は電場に反応する電荷と、磁場に反応するスピンという要素を持っており、通常この2つは一体化していますが、1次元の物質の中では2つの要素が分離してしまうと予測されています。私たちは実際の物質に即したモデルを用いて、スピン電荷分離が本当に起こるのかをシミュレーションし、検出されたデータに基づき、共同研究している他大学の研究グループが実験を実施。そこで予測を検証し、結果にズレがある場合は何が原因だったのかを考え、その要素をモデルに組み込んで再びシミュレーション。この工程を何度も繰り返します。

その他、グラフェンやポリマーなど、さまざまな有機物の物理的現象をモデル化し、シミュレーションを行っています。これら電気伝導の高い物質は、将来的に情報通信をはじめ、いろんな分野への応用が期待されています。

壁にぶつかり、それを乗り越える経験を在学中に体験する

計算機シミュレーションのプログラムには、最新のアルゴリズムを用いて、各学生に一から構築してもらっています。その理由は、計算時間が速くなることはもちろんですが、難易度の高い未知のものに取り組む中で、壁にぶつかり、その壁を乗り越えるという経験をしてもらうことも目的です。身につけたプログラミングのスキルだけでなく、大学で学んできた量子力学や統計力学などの物理学のものの見方や考え方とともに、その体験は社会人になった時に必ず役に立つでしょう。統計力学には数学の方法が応用され、その結果から物質の性質を説明するのが私の研究です。数学や物理が好きな人、ものごとをじっくりと考えるのが好きな人にはきっと楽しい分野だと思いますので、ぜひ仲間に加わってみてください。

電子・物理工学科研究分野一覧

光機能工学領域

新たな光機能性の創成を目指し、光物性工学、フォトニック工学、波動物理工学の研究を行っています。
具体的には、光物性工学・フォトニック工学では、物質中の電子の波動性(量子性)が現れるナノメータスケールの多様な半導体薄膜構造(量子井戸、超格子など)を対象として、発光機構や超高速光学応答などの光物性と光機能性を中心に先端的研究を行っています。波動物理工学では、光やテラヘルツ電磁波に関する基盤技術とテラヘルツ光学素子や新機能センシング等の工学的な応用について研究を行っています。

光物性工学

「半導体ナノ薄膜構造・量子構造(電子・正孔の波動性が現れる構造)の光物性と光機能性」を中心に研究しています。半導体ナノ薄膜構造を多様な物理的気相成長法により作製。それらの電子系のエネルギー状態や発光機構について先端的な研究を行い、新たな光機能性を創成する指針の開拓をめざしています。

  • 酸化物半導体ZnOのナノ薄膜作製プロセス(パルスレーザーアブレーション)におけるプラズマ発光

フォトニック工学

レーザー光は、身近な場所、例えばCD読み取り光源として活躍しています。これらより発展したフェムト秒パルスレーザー [パルス幅: 1~100 fs (10-15 ~10-13 秒)]があります。1fsという時間では、光は、高々ウィルス3個( 0.3 m)分の距離しか進みません。本分野では、この光を用いて先端的なテラヘルツ電磁波の発生機構を主に研究しています。

  • テラヘルツ分光システム

波動物理工学

私たちの身の回りには、波や振動に関係した現象やそれを利用したものが数多くあります。我々の研究している光(レーザー)やテラヘルツ波などの電磁波や、プラズモンなどの電子の集団運動も波の性質を持つもののひとつです。それらを組み合わせた時の振る舞いや働きを理解して、光と電子の融合した新しい技術を生み出す取り組みをしています。

  • レーザーリソグラフィで作製したテラヘルツ光学素子の走査電子顕微鏡像

担当教員

※クリックすると研究者紹介が表示されます。

マテリアル機能工学領域

実験と理論の両面から、新機能の実現をめざす材料・計測技術の研究を行っています。具体的には、半導体ナノ粒子の作製と光学特性の研究(ナノマテリアル工学)、結晶工学・真空工学・表面科学等に基づく基礎及び実用化研究(物性制御工学)、物質表面における吸着・脱離等の超精密測定技術の研究(応用分光計測学)、高速・高エネルギー粒子の計測技術の研究(検出器物理工学)、多様で複雑な現象の中の法則性、普遍性を探求する理論研究(数理工学)を進めています。大学発ベンチャー等産学連携も活発に行っています。

ナノマテリアル工学

化学的方法による半導体ナノ粒子の作製と光学特性、光機能性に関する研究を行っています。さらに作製したナノ粒子を高分子フィルムに分散させたり、独自の技術で基板上に積層させ、ナノ粒子の発光機構の解明と新規高効率発光材料への応用をめざしています。今後、磁性・誘電体ナノ粒子の作製にも取り組む予定です。

  • 強い蛍光を示す半導体ナノ粒子

数理工学

多様で複雑な現象の背後にひそむ法則性や普遍性を探求するのが数理工学です。ミクロな世界の法則を用いて金属絶縁体転移や磁性転移の研究を行うとともに、群論を使って量子もつれの状態を研究しています。また、非線形現象や非平衡現象の研究も行っています。

物性制御工学

超高真空走査型トンネル顕微鏡(UHV-STM)を使って、硬貨などに使われる身近な材料である銅・ニッケルの合金薄膜や金属シリサイドを原子レベルで観察しています。また、プラスチック基板上に作製した、有機半導体を用いたトランジスタや透明導電膜の基礎研究をしています。

  • ニッケル(111)表面にシリコンを少量蒸着した時のSTM像
    走査範囲:200nm×200 nm

応用分光計測学

物質表面と気相の界面で起こる吸着・脱離、拡散およびイオン化等の動的過程について、単一原子レベル以下の局所領域に限定した超精密な測定を行うための新規なプローブビーム技術について研究しています。また、界面におけるイオン化過程に関与する電子のスピン状態を制御することによる新しい表面分析手法の開拓や、集束イオンビームを用いた表面科学への応用などにも取り組んでいます。

  • 電界イオン顕微鏡(FieldIonMicroscope:FIM)装置を用いて観察したW金属試料先端部の原子配列

検出器物理工学

圧電性材料は、外力による変形や歪みから電気を発生させる物質です。その材料の特性から、使用できる電力が限られた環境下でも、感応素子としての応用が十分期待できます。現在、この材料を使った高速・高エネルギー粒子の計測技術に関する研究を行っています。

  • 圧電性材料で作られたリング状の高エネルギー粒子観測器。

エネルギー機能工学領域

高効率でのエネルギーの発生・変換・応用の研究を進めています。エネルギーの発生・変換に関しては、異種材料の貼り合せ等の手法を用いて、高い変換効率を有する太陽電池や高耐圧と高動作速度を有する半導体デバイスの実現に向けた研究を行っています(パワーエレクトロニクス)。反応活性プラズマを利用して、得られたエネルギーを使った高効率での材料加工の実現を目指した研究を進めています(材料計測工学)。

パワーエレクトロニクス

半導体デバイスはサイエンス(半導体物性)とエンジニアリング(電子工学)の境界領域です。社会的に極めて重要な半導体デバイスである高効率太陽電池の研究を進めています。また、ワイドギャップ半導体デバイスの研究を行っています。

  • 貼り合わせ技術で作製したタンデム型太陽電池

材料計測工学

原子や分子が電離したプラズマ状態を利用し、機能性材料の新規合成、既存材料の修飾や分解を行い、機能性向上や改質のための技術開発に取り組んでいます。また、不安定な有機半導体薄膜をプラズマ重合法で形成し、安定性向上を図る技術の開発なども行っています。

  • 炭化水素のリフォーミング等への応用をめざしたエタノール液中プラズマ生成の様子

取得できる資格・卒業後の進路

取得できる資格

・高等学校教諭1種免許状(工業)
・安全管理者(労働安全衛生法)(学科共通)
工学部を卒業し、1年以上産業安全の実務経験のある者は 安全管理者に就任できます。(主務官庁、厚生労働省)

平成27年度卒業生の進路状況

卒業生33名 大学院進学31名 就職2名

平成27年度電子情報系専攻修了生の主な就職先

三菱電機、関西電力、トヨタ自動車、神戸製鋼所、エヌ・ティ・ティ・コムウェア、住友電気工業、京セラ、デンソー、リコー、ダイヘン、日立情報通信エンジニアリング、ダイハツ工業、日立造船、富士通テン、沖電気工業 ほか

修了生56名 就職54名 進学1名 その他1名

アドミッションポリシー

電子・物理工学は電気・電子工学、応用物理学などの幅広い科学技術のなかの先端技術の開拓に関わっています。本学科は種々の電磁気現象、電子工学や半導体工学、量子エレクトロニクスやレーザー、またそれらの基礎となる物性理論、と多域にわたる先端的研究開発を支える技術者や研究者の育成をめざしており、次のような意欲的な学生を求めています。
  • 1.物理学や電気・電子工学に興味があり、それを幅広い工学に応用することに深い関心を持つ人。
  • 2.物質、電気、光などの物理学的性質の解明と新規機能の開拓、実験的また理論的解明などの幅広い電子・物理の科学技術に強い興味を持ち、主体的かつ積極的に学習・研究する意欲に溢れた人。
  • 3.国際的な視野から新たな課題を見出し、それに積極的に挑戦する意欲を持つ人。