電気情報工学科
Electrical and Information Engineering

電気情報工学は「情報の生成、伝達、変換、認識、利用などの観点から、その性質、構造、論理を探求する学問、およびその具体化を行う計算機を中心とする情報機器および情報システムのハードウェア、ソフトウェアの理論と実際に関する学問分野」であり、現代社会の産業基盤、生活基盤として欠くことのできない技術となっています。電気情報工学は、電気・電子工学、通信工学、計算機科学などを基礎とし、これら幅広い科学技術を複合化し、新たな先端技術領域を産み出しています。
電気情報工学科では、電気工学と情報工学の教育・研究を通じ、情報通信技術が社会に及ぼす影響を配慮し、時代の要請に応え得る、電気・情報・通信関係の広範囲な問題に対する適応能力を習得し、さらに、未知の問題を自らの手で解決していく自主性と独創性を持った人材を育成します。

情報処理工学

数学に基づいた通信システムの信号処理やビッグデータの利活用。
林 和則 教授

部分から全体を復元する「圧縮センシング」。

 「圧縮センシング」はランダムに選んだ少ない情報から全体像をあぶり出すことを可能にする技術です。この手法は2006年頃に開発された比較的新しい数理的な道具ですが、連立一次方程式という皆さんにも馴染み深い基礎的な数学の問題に深く関係しています。「圧縮センシング」を使えば、医療の現場で、短いスキャン時間で得られた低解像度の画像から高精細なMRI画像を得ることができます。
 インターネットの動画なら、軽い映像情報を配信しても視聴者は鮮明な映像を楽しめます。どの程度少ない情報でも復元可能かをきちんと理解するためには、大学で学ぶ数学の知識が必要になりますが、直感的には、復元したい情報が「スパースなベクトル」、つまり、ほとんどの成分が0であるようなベクトルとして表現される場合に特に少ない情報から復元可能です。
 静止画像・動画像・音声などのさまざまな信号復元に応用されてきた手法ですが、研究室では、通信システムの信号やビッグデータもスパース性を持つことに注目し、圧縮センシングを応用する研究を行っています。

通信システムからマーケティングまで。

 AIやIoTの発達で、あらゆる場所に端末が置かれ、膨大な情報がやりとりされています。やりとりが止まったり、遅れたりしないようにすることが今後の通信の課題です。現状では端末が100あれば、1端末ずつ順番に信号を送信する必要があります。複数端末が同時に信号を送信すると、信号がぶつかりうまく受信されないからです。しかし圧縮センシングの考え方なら、100端末の同時送信を複数回行ってあえて信号を衝突させ、それらをキャッチすることで、端末数よりも少ない送信回数の受信信号からすべての端末の送信信号を復元できます。結果として通信時間が大幅に短縮され、大量のIoT端末からの信号を滞りなく受け取ることができます。
 ビッグデータへの応用なら、「住宅ローン返済傾向」を知るのに「過去の公共料金の支払状況」の情報が有益であることはすぐに想像できますが、ひょっとすると「好きな食べ物」の情報も役立つかもしれません。このような、人間が簡単に見つけられないような隠れた関係を探り出すためにも圧縮センシングが応用できます。
 信号処理からビッグデータまで、世の中を幸せにする技術の実用化に向けて研究・開発を行っています。基礎理論と応用の両方に興味がある人は、研究室の扉をノックしてください。

電気情報工学科研究分野一覧

エレクトロニクス領域

現代社会における情報の担い手は電気信号・磁気信号・光信号などの物理量であり、モノづくりにおいて重要なこれらの物理量を高効率・高精度に制御する原理や最先端デバイス技術の研究を行っています。
具体的には、光増幅技術や増幅型光非線形デバイスを用いた光機能システム、光の特性を活かして3次元画像情報の取得・表示や生体計測などを行う情報フォトニクス技術、スマートエネルギーシステムのキーデバイスと成り得る超小型薄膜電力センサーやマイクロ電磁デバイス、スピントロ二クスなどのハードウェアを中心とする研究を行っています。

光電子工学

光通信に適用可能な半導体レーザや光直接増幅技術、光波長変換技術を駆使した光機能デバイスの研究、物体の三次元形状計測と立体表示、生体情報計測等の光情報工学の研究を行っています。

  • 半導体光増幅器を用いた光直接増幅の実験風景

電磁デバイス工学

マイクロ電磁デバイス、マイクロマシン、フェーズドアレイアンテナ、生体からの電気情報の計測と解析などの研究を行っています。さらに、小型であらゆる電気製品に組み込み可能な世界初の薄膜電力センサの開発にも注力。電力消費量をリアルタイムに計測し、無駄な電力を抑えます。

  • 薄膜電力センサでの電力計測

スマートエネルギー

新しい省エネ方式を用いた電子デバイスの研究を行っています。従来のデバイスでは電流のみを使って情報を伝搬し、情報の処理を行っていますが、電流ではなくて“スピン流”という磁気的な流れを用いて情報を伝搬するデバイスを研究しています。

  • 電子デバイス作製のための多層膜蒸着装置

制御システム理論

マルチエージェントシステムの分散・協調制御に関する研究を行っています。特に、離散事象システムや自律ロボット群の分散制御法則を設計し、実世界の様々な応用を目指しています。

  • マルチロボットのフォーメーション制御

情報処理領域

情報処理領域では、現代社会が要求する新しい価値の創造を目指し、ハードウェアとソフトウェアの専門知識を有機的に融合させた研究を行っています。具体的には、3D映像・眼鏡型ディスプレイ・ウェアラブルコンピュータ等によるヒューマンインタフェース、内視鏡やヘルスケア等の医工連携、確率・統計的手法に基づいた信号処理やデータ解析、視覚情報処理・パターン認識等の人や生物が行う情報処理の工学的モデルとそのロボットや医用画像処理への応用、生物を規範とした脚型ロボットの制御、人間に近い環境認識や行動計画を獲得するための強化学習などの研究を行っています。

情報システム工学

3Dディスプレイと3Dカメラを組み合わせた3D映像インタフェース、眼鏡型ディスプレイ、ウェアラブルコンピュータ、新しい内視鏡の研究や医用検体管理およびヘルスケアの研究を行っています。

  • 網膜投影型ディスプレイ
  • 3Dカメラと3Dディスプレイでの表示例

情報処理工学

観測された生の信号やデータから有益な情報を抽出するための方法論である統計的信号処理や、生物や人間が行う情報処理の工学的モデルに関する基礎研究とともに、それらの知見を情報通信分野をはじめ知能ロボットや医用画像処理など様々な分野のシステムへ応用する研究を行っています。

  • 電波を操る信号処理
  • レントゲン画像上で、肩甲骨と上腕骨の一部を検出

知識情報処理工学

生物を規範とした多脚ロボットや人間の生活環境に適応が期待されているヒューマノイドロボットの運動制御に関する研究や、人間に近い能力を持つ人工知能の開発をめざし、ロボットがタスクを実行しながら適切な環境認識と行動政策を獲得する強化学習の研究を行っています。

  • 腕脚統合型ロボットASTERISK:脚の配置を対称にすることで不整地の歩行や狭隘部の移動を可能としている

情報通信領域

情報通信領域では、情報通信ネットワーク、情報通信システムをはじめ情報通信に関わる幅広い分野を研究対象としています。次世代の情報通信を支える高度に進化した技術として、高速化、大容量化、高信頼性化、低消費電力化などの技術開発に挑戦しています。また、これまでに培った知見を積極的に他分野に融合し、災害救助ロボットネットワークの開発や、健康・スポーツ、医療、福祉への応用など、新たな研究分野を開拓しています。情報通信領域は、これらの研究成果を通じてより安全で安心な社会基盤の構築に向けて貢献していきます。

情報ネットワーク工学

ネットワークをより身近に、そして安心して使うための次世代の有線ならびに無線ネットワークの技術開発に取り組んでいます。ネットワーク技術が進むべき方向性として、高速化、大容量化、高信頼性化、低消費電力化などの観点から研究・開発を行っています。

  • インターネットの情報を宛先ごとに振り分ける高性能ルータの試作と評価実験

マルチメディア工学

多様化するメディアを統合的に扱い、ネットワークと融合した新しい情報流通基盤の確立をめざした研究を行っています。分散化された情報を高速かつ確実に見つける方法、質の高いコミュニケーション技術の確立、携帯デバイスを活用した新しい通信モデルなどを研究開発しています。

  • 腰部に装着した心電計と加速度計
  • トレッドミルを用いた生体センシング実験

通信システム工学

光通信や無線通信における通信路符号や多重アクセスのための拡散符号、複数のロボットを無線通信でつなぐネットワーク・ロボットとその応用、無線情報通信技術の健康・スポーツ・医療分野への応用、無線通信システム中での位置推定技術とその応用などに取り組みます。

  • 20台のロボットを無線でつないだ実験

応用システム領域

 

分散システム工学

多数のコンピュータがネットワークで接続された分散システムによって、さまざまなサービスを提供する方式を研究しています。また、分散システムを実現するための基盤ソフトウェアや分散システムを利用したアプリケーションの研究開発も行っています。

  • オーバーレイネットワークを用いた位置情報付き映像配信システム

情報基盤工学

インターネットやクラウドなどの情報基盤は、もはや現代社会にとって欠くことのできない重要な存在となっています.このような情報基盤を安全、確実かつ効率的に動かし続けるためのさまざまな技術や手法について研究しています.

  • リアルタイムに発生する大量のデータを分析するためのサーバシステム

知識情報システム工学

情報検索、人工知能、ユーザインタフェースに関する研究を行っています。情報(テキスト)の抽出と整理を中心に、Webインテリジェンス、ライフログ、図書館情報学などを研究しています。

  • Webインテリジェンス: 氏名を入力してWeb上から情報を取得し、履歴書を作成、地図上に表示
  • ライフログ: カレンダー、Twitter、LINEなどから情報を抽出して記憶の想起を支援

空間情報システム工学

人間の行動はいつも地球空間上の位置と関係します。例えば、さまざまな資料から取り出した人間活動に関連する位置や地図情報を活用することで、地域の歴史を知ることや、これからのまちを考えるヒントとなります。このような位置・地図・空間といった情報を、地域社会の個性を尊重したまちづくりや防災・減災などに応用する研究を行っています。

  • 様々な地図情報を重ね分析するWebシステム
  • タブレット端末を用いた現地調査

担当教員

  • 教授 安倍 広多
    教授 安倍 広多
  • 教授 石橋 勇人
    教授 石橋 勇人
  • 教授 村上 晴美
    教授 村上 晴美
  • 准教授 吉田 大介
    准教授 吉田 大介
  • 准教授 永田 好克
    准教授 永田 好克
  • 准教授 大西 克実
    准教授 大西 克実

取得できる資格・卒業後の進路

取得できる資格

・高等学校教諭1種免許状(工業)
・安全管理者(労働安全衛生法)(学科共通)
工学部を卒業し、2年以上産業安全の実務経験のある者は 安全管理者に就任できます。(主務官庁、厚生労働省)

2017年度卒業生の進路状況

卒業生38名 大学院進学27名 就職11名

2017年度電子情報系専攻修了生の主な就職先

トヨタ自動車、三菱電機、パナソニック、デンソー、本田技研工業、ダイキン工業、村田製作所、川崎重工業、住友電気工業、キヤノン、京セラ、ダイハツ工業、帝人、京阪電気鉄道、日立造船 ほか

修了生46名 進学1名 就職44名 その他1名

アドミッションポリシー

高度な情報化社会を迎え、広い視野と電気・電子工学、コンピュータ、情報処理、通信、制御などの幅広い関連技術を基礎とする、柔軟な応用能力を身につけた研究者・技術者が望まれています。本学科では、電気・情報・通信関係の広範囲な問題に対処する適応能力を習得し、さらに、未知の問題を自らの手で解決していく自主性と独創性を持つ技術者・研究者の育成を目標としています。そのため本学科では次のような人を求めています。
  • 1.数学や理科など数理系の基礎学力を備えている人。
    また、英語、国語、社会などの人文・社会系科目にも関心をもち、一定の学力を備えている人。
  • 2.情報工学分野に対する興味と探究心が旺盛で、新しい技術の開発に熱意のある人。
    意欲を持って幅広い分野の勉学ができる人。
  • 3.趣味などでプログラムを作ったことがある人。
    あるいは、現状の情報機器に不満を持ち、より利便性が高い情報機器を開発してみたいという意欲が旺盛な人。
    電子機器やロボットの制御に興味のある人。
  • 4.自主・自立の精神が旺盛で、広い視野を持ち、倫理観のある人。
    社会の中で自分をも他人をも活かす気持ちを持ち、それに向けて努力できる人。
  • 5.自己表現力があり、他人とのスムーズなコミュニケーションができる人。
    どんなことにも積極的かつ忍耐力をもって取り組むことのできる人。
    多様な観点から物事をみることができる人。