機械工学科 Mechanical Engineering

機械工学は、環境やロボット、マテリアル、航空・宇宙、輸送、医療など、幅広い産業分野で必要とされる基盤的な学問分野で、人々の生活を豊かにする様々な技術の構築に寄与してきました。機械工学はこれまでの伝統的な基盤技術に加え、時代とともに変化する産業構造や社会の要請に応えるため、新たに創成された技術や原理を取り入れ日々進化発展を続けています。 本学科では、原子・分子レベルのナノ・ミクロなスケールから、環境・社会などのマクロスケールまで横断的にとらえた特色あるカリキュラムを提供し、様々な視点から問題を考察できる能力を持つ人材の育成をめざします。ものづくり、物理や数学、人・社会・環境に興味をもち、次世代の機械技術や先端材料の創成に挑戦したい学生、時代を切り拓く技術者を目指す意欲のある学生を求めています。

Close-up Fields of Study 注目の研究

材料機能工学

素材作りから評価までを一貫して行い、金属疲労のメカニズムを解き明かす。

材料数理工学イメージ画像 兼子 佳久 教授

金属疲労のメカニズムを学際的に追究

磨耗・摩擦や腐食と並び、機械が壊れる要因である金属疲労のメカニズムについて研究しています。金属疲労の現象を力学的に検証するという従来の方法だけではなく、電子顕微鏡学や材料学など、他の学問領域の知見を活かしながら学際的にアプローチしているのが本研究室の特色のひとつです。例えば、材料の凹凸などを高倍率で観察できる走査型電子顕微鏡を用いて、表面の状態はもとより、材料を構成する各結晶の方位なども調べます。材料の強度は、隣り合う結晶間の角度差や各結晶のサイズなどによって大きく変わるので、これらを微視的に調べることで金属疲労のメカニズムを詳細に観察し、より強く、耐性の高い材料の開発につなげます。

また、私たちの研究室では、結晶内部で線状に起きる位置ずれに相当する転位とよばれる格子欠陥の様子を日本で初めて走査型電子顕微鏡を使って観察しました。このように、新しい観点から従来にはなかったさまざまな取り組みにチャレンジできるのも、当研究室の魅力です。

材料を自ら作り、金属疲労の評価までを一貫して手がける

研究室では分析を行うだけではなく、対象となる材料を自分たちで一から作ります。材料を「溶かして、固める」わけですが、加工法によって結晶の細かさや結びつき方が変わり、さまざまな仮説を立てながら、より結晶密度の高い素材を安定的に作る方法を追究。そして、完成した材料を独自の制御プログラムを組んだ疲労試験機で負荷をかけ、金属疲労のメカニズムを探ります。素材を作るところから最終的な評価を行うところまでを手がけている研究室は全国的にも珍しく、それらの工程に一貫して取り組むことで、より深く金属疲労についての知識も身につけられるでしょう。卒業後はメーカーの開発職に就く学生が多いですが、さまざまな分野の最新の知識や成果を融合させ、新しい見地から研究を進めた経験は、現場でも大いに活かされると思います。

機械工学科研究分野一覧

環境エネルギー領域

環境エネルギー領域では、エネルギーの発生メカニズムやその利用効率の向上・制御などに関する教育・研究を行っています。具体的には、
(1)空調機や都市のエネルギー利用に関する環境熱工学分野
(2)熱や水蒸気を利用する生産設備や機器に関する熱プロセス工学分野
(3)表面張力が関わる流動現象や液膜の微粒化などに関する流体工学分野
の三つの分野があります。本領域の特色は、従来の化石燃料を利用した熱流体機械の開発に加えて、太陽エネルギーや水力エネルギーなどの再生可能エネルギーを利用した動力発生装置の開発などにも意欲的に取り組んでいるところです。

環境熱工学

水の相変化を利用した熱駆動ヒートポンプの開発、エネルギー消費とヒートアイランド・地球温暖化に関する現状分析・将来予測や高効率な熱機関・冷凍空調機器を用いた設備的緩和策、ならびに太陽熱エネルギーの資源化など、持続可能な社会に求められる低環境負荷・高効率なエネルギーシステムについて研究を進めています。

  • ルームエアコン実性能試験装置(室外機+風洞)

熱プロセス工学

化学原料、部材、食品や農産物等の製造や加工の際には、製品の品質向上と同時に、省エネルギー化や環境負荷の低減が求められます。そこで高温の水蒸気(過熱水蒸気)や様々な温度・湿度の空気を上手く利用し、材料の熱的な性質をふまえながら、加工工程を最適化するための方法や装置の開発に取り組んでいます。

  • 再帰反射材の光学的性能評価装置

流体工学

ダクト内を流れる高温流体の熱と運動量の伝わり方を解析して、流れの抵抗を増やさずに熱をダクト壁面に伝える効率的な撹拌方法を探究しています。また、界面活性剤水溶液の液膜の分裂現象に関する研究やレーザーで壁面上の液滴を自在に駆動する手法の開発などを行っています。

  • 界面活性剤水溶液をスプレーノズルから噴出した様子
  • ダクト内の流れを数値シミュレーションし、渦を可視化した画像

システムダイナミクス領域

システムダイナミクス領域では、振動工学、制御工学、ロボット運動学、計測評価工学、知的材料工学などの専門知識に関する教育と、先進機械システムや知的材料・デバイスの設計、製作、運用、評価・診断に関する研究を行っています。現在は、社会インフラや機械システムの不具合を早期に発見する診断、構造物の安全性確保のための非破壊材料評価、環境負荷低減のためのエンジン制御、各種のロボットの開発、生体を対象とした計測・評価、磁気粘性流体を利用した新たなデバイスの開発などに取り組んでいます。

機械力学

機械やインフラ構造物の状態を評価し診断する技術の研究や、福祉ロボット技術の研究を行っています。機械の評価のために、計測手法、信号処理・データ処理手法の開発を行っています。インフラの検査のために、画像処理技術の適用や橋梁検査ヘリコプタの開発を行っています。

  • 工具の微小トルク計測装置。
    工具径φ0.1mm程度、トルク10Nmmの計測が可能
  • 視覚障がい者単独歩行支援ロボット

生体計測工学

臨床医療支援を目指して、タンパク質・細胞から組織・器官に至る生体機能のマルチスケール計測制御、手術や診断における計測原理・手法の構築、それらを応用したデバイスシステム開発の教育研究を目指しています。具体的には、複合材料に加え、生体組織(皮膚・軟骨・癌・動脈硬化などの疾患)の内部状態の機能評価(機械特性や化学特性)を、マイクロ㍍レベルにて断層評価・臨床診断する光計測情報工学手法(多機能OCT)の研究開発を行います。

  • 体内堅さ顕微鏡によるスキンケア診断

材料数理工学

材料や構造物の非破壊評価、振動の制御について研究。例えば高品質なCFRPを効率よく成形するために超音波を用いて樹脂の流動や硬化をモニタリングする手法の研究や、磁気粘性流体を利用して振動を制御する小型ダンパの開発などに取り組んでいます。

  • ネオジム磁石の磁力線に沿って形成された、磁性流体の針状構造

動力システム工学

低燃費でクリーンな究極的な自動車の開発を目標として、さまざまなシステム構築や制御理論を駆使して、エンジンや変速機の最適化制御に関する研究を行っています。また、画像情報だけを用いた自動運転車両の制御開発についても取り組んでいます。

  • 究極のクリーンと知能の自動車を目指して

ロボット工学

調査や点検のために、水中や橋梁下部などの人が入りこみにくい場所で活躍できる小型移動ロボットを開発研究しています。水中ロボットや空中ロボットでは、推力向上のために数値流体力学で解析しています。また、血液の流れなどの生体機能に関わる研究も行っています。

  • 橋梁検査ロボット バイリム

マテリアルデザイン領域

マテリアルデザイン領域では、あらゆる製造分野に係わる材料の教育・研究を行っています。ナノテクノロジーによる素材、部材のナノ・ミクロ構造制御・加工、ハイブリッド複合材料の成形・インテリジェント化、モニタリング、モデリングによる疲労・変形など材料機能の解析・予知など、世界的に注目され、国内外をリードしてきた研究も多々あります。本領域では、4つの研究分野で金属材料、非鉄金属材料、複合材料について、機械材料の他、抗菌機能材料や生体材料についても研究開発に取り組んでいます。

生産加工工学

微生物と材料の相互作用について研究します。甚大な損失を引き起こす微生物腐食についての研究や、院内感染、食中毒対策として抗菌性金属材料の開発も実施。また、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた超精密切削加工、各種材料の溶接・接合加工、加工に伴う残留応力評価の研究も行っています。

  • 真鍮に単結晶ダイヤモンドバイトを用いて超精密切削加工を施し、鏡面に仕上げた様子

材料物性工学

分子サイズ(nm)からマクロスケール(mm)までの構造・機能を制御した革新的物性を持つ材料創製と機能評価に関する研究を行っています。先進セラミックスの微視的、巨視的構造制御、環境浄化・エネルギー、バイオ・医用・歯科材料への応用をめざした物理・化学的研究などを行っています。

材料知能工学

材料にセンサを埋め込んで、センシング機能を持った新しい材料の開発に関する研究を展開。軽量で強度が高い複合材料と、極めて細く容易に材料に埋め込める光ファイバセンサを一体化することで、センシング機能を持つ新しい高機能材料の開発をめざしています。

材料機能工学

社会基盤を支える最も基本的な材料である金属材料や高分子材料が研究対象。ナノテクノロジーを用いた高強度の超微細結晶材料やナノ多層膜の開発、格子欠陥配列を電子顕微鏡で観察する技術、材料の不均一変形の評価、均質化法有限要素法解析などに取り組みます。

  • 銅単結晶粒の微細化

担当教員 共通(兼担)

※クリックすると研究者紹介が表示されます。

取得できる資格・卒業後の進路

取得できる資格

・高等学校教諭1種免許状(工業)
・安全管理者(労働安全衛生法)(学科共通)
工学部を卒業し、2年以上産業安全の実務経験のある者は 安全管理者に就任できます。(主務官庁、厚生労働省)

平成27年度卒業生の進路状況

卒業生45名 大学院進学39名 就職6名

平成27年度機械物理系専攻修了生の主な就職先

トヨタ自動車、三菱重工業、日産自動車、川崎重工業、三菱電機、神戸製鋼所、IHI、ファナック、スズキ、ヤンマー、東レ、住友電気工業、島津製作所、ブリヂストン、クボタ ほか

修了生42名 就職41名 その他1名

アドミッションポリシー

教育に関する基本的な考え方にもとづいて、本学科では以下のような人を求めています。
  • 1.機械工学を学ぶのに必要な基礎学力(特に数学、理科、外国語)を有する人。
  • 2.論理的にものごとを考え、自ら問題解決をはかる意思のある人。
  • 3.様々な人と意見交換ができ、協力して課題に取り組むことができる人。
今日の機械工学が扱う複雑な問題の解決には、様々な視点からのアプローチが不可欠となっています。
そこで本学科では、原子・分子レベルのナノ・ミクロスケールから、環境・社会などのマクロスケールまで横断的に捉えた特色あるカリキュラムを提供し、色々な視点から問題を考察できる能力の育成をめざします。ものづくり、物理や数学、人・社会・環境に興味をもち、次世代の先端材料の開発や機械の創成に意欲のある人を強く望みます。